セスジキノボリカンガルー

4月7日、ズーラシアにて。かわいい。]

『夏の黄昏』カーソン・マッカラーズ

カーソン・マッカラーズ『夏の黄昏』を読んだ。加島祥造訳。村上春樹訳『結婚式のメンバー』と元は同じもので、原題は The Member of the Wedding 。これは完全に好みレベルの話だけど、おれは『夏の黄昏』のほうがよかった。後半に黒人の家政婦ベレニスのぐ…

『わたしたちが光の速さで進めないなら』キム・チョヨプ

著者は1993年生まれ。『はちどり』キム・ボラ監督の次回作の原作も入ったSF短篇集。ほとんどの話でフォーカスが当たる人物は女性で、家族の話、孤独についての話、愛についての話、などが語られる。センチメンタルだけどそれぞれの物語の核にしっかりSF的な…

カーソン・マッカラーズ

『心は孤独な狩人』(村上春樹 訳)でハマった。同じく村上春樹訳の『結婚式のメンバー』は読んでいて、いい小説だなと思ったけれど、感動まではしなかった。今回、マッカラーズをいくつか読んでみて、『結婚式のメンバー』はマッカラーズの作品中で例外的に…

シンガポール

クレイジー・リッチの国へ行ってきたときの。

チャリ小旅行

中野区から浦和のあたりまで。 かかったお金は帰りに寄った温泉の830円(タオルは持参した)。 そんなこんなで、何とかやっております。

認知症をめぐって

認知症についての番組をディレクションしました。 NHK Eテレで9月19日(土)14:00〜14:59に放送されます。 (※番組名と固有名詞は大人の事情で書きません……ごめんなさい!) これ、なかなか興味深いものになったと思います。普段あまり自分からこういうこと…

帰れない日々→発熱→19時間寝て復活、からの砧公園。

新たなカメラと2014年に見た映画

新しくカメラを買った。フジのX100というやつで、単焦点・35mm(35mm換算)。なかなか好みの写りをする。 去年、新作は50本あまりしか見られなかった。その中のお気に入り(順不同)。 ●ブリングリング(ソフィア・コッポラ) ●ドラッグ・ウォー 毒戦(ジョ…

渓谷

たまにはアウトドア。山梨の西沢渓谷というところ。でも途中で飽きた。 そこかしこに「落石注意!」と書いてあったけど、崖の反対側は急流だったり奈落だったりで、落ちてきたところで逃げ場もなし。何でみんなそんなリスキーなところにわざわざ行くんだろう…

マーヴェリックス

爆音収穫祭にて『マーヴェリックス』(カーティス・ハンソン)。 海辺で遊ぶ健康的な少年と少女が出会うのは、イカした中年サーファー。世界がずっとこんなふうであればいいのに。でも残念ながら、世界はそんなもんじゃない。少年はアル中気味の母親を抱えて…

消耗品の死ぬ権利

『エクスペンダブルズ2』(サイモン・ウェスト) 『終の信託』(周防正行) すっかり映画を見られなくなって、テロップがどうとか、見る人への配慮がとかそんなやりとりばかりを仕事でしていると、『エクスペンダブルズ2』の冒頭、人がガンガン血を噴き出し…

カリフォルニア・ドールズ/白夜

『カリフォルニア・ドールズ』(ロバート・アルドリッチ)、『白夜』(ブレッソン)。 仕事先を変わってまったく映画が見られず、先月後半から今月ここまでにかけて、この2本しか見ていない。 もう言わずもがなのニュープリント2本。フィルム上映が難しく…

Playback

少し前、三宅唱監督の『Playback』をこっそり試写にもぐらせていただいて、見た。 風格あるなあ、と思う。まだ28歳の監督が、どうしてこんなに堂々とした、それでいて繊細きわまりない映画を撮っているんだろうか。前作『やくたたず』も役者の佇まいが素晴ら…

ライク・サムワン・イン・ラブ

ライク・サムワン・イン・ラブ(アッバス・キアロスタミ)。 妖術としか思えない。キアさん、日本語なんてまったくわかんないだろうに、なんでこんな微妙な距離感の映画が撮れるのか。 ただ、日本語なんて〜、と書いたけれど、実は言葉よりもキャラクターを…

生き返らせること

ちょっと前に某映画監督が『ドミノ』や『デジャヴ』でトニー・スコットがしようとしていたのは「死者を生き返らせること」だと呟いていた。こちらも同じくらいの時期にやっぱりその二作を見ていて、作品に、そして作品を受けたその言葉に、じんとくるものが…

トニスコ

あんな『アンストッパブル』を撮った人がそんなことになるなんて、なんでや。 わからない。ニュースを見た途端に凍りつき、悲しいやら追悼やらの気分にはなれずに、ただ麻痺したように空洞がある。橋から「迷いなく飛んだ」と報道されている。その「迷いなく…

ビーチボーイズ

基本的には座って、時折手を振り踊りながら、すこし不安定な声で歌うブライアン。陽気に煽るマイク・ラブ。映像で映し出されるデニスとカール。そんなすべてを包み込んで、強靱なポップスが現れ、きらめきながら夏の夜空に消えてゆく。夢のように、それらは…

カール・マイ

アテネ・フランセのハンス・ユルゲン・ジーバーベルク特集にて、『カール・マイ』。 ベストセラー冒険小説家であるホラ吹きのおっちゃんが、「あんた昔はエロ小説書いてたやろ」とか「オマエ博士号持ってるいうけど偽装やん」とか「世界中冒険旅行した言うて…

プロメテウス

公開日は8.24のはずなんですが、いつから映画の公開日ってこんなになし崩しになったんですか?というわけで14日は千円のTOHO系にて『プロメテウス』(リドリー・スコット)。3Dメガネ持参で1300円。 もう単純な意味でめちゃくちゃ面白かったんですけど、言っ…

same place / same sin

「same placeをoccupyすることはできぬ」と漱石は書きつけた。この空間にいる「わたし」は「この空間」を誰かと分けあうことはできない。わたしの身体が占めているスペースに、他人の身体が入ることはできない。私たちは、生まれた瞬間から、常に「ほか」を…

砂漠

ときどき、無性にロッセンの映画が見たくなる。それは『リリス』であったり『コルドラへの道』であったりするのだが、『リリス』の病みきったファンタジーと同じく、『コルドラへの道』の複雑な鬱屈は胸を打つ。「勲章を貰う予定の兵士たちをコルドラまで、…

月。

ヘルタースケルター

『ヘルタースケルター』(蜷川実花)。 「最初に一言、笑いと叫びはよく似ている」……冒頭のこの言葉を完璧にやりおおせた沢尻エリカに拍手。イメージになった女、りりこは「内面」を持てない。そんなものがあったとしても、それもよくあるイメージ、クリシェ…

燃える夏

暑い。暑い。暑いので省エネ運転します。 花つみ日記(石田民三) 神保町シアターにて。歌は4度歌われる。群舞として、合唱として、並行モンタージュで、そして救いとして。冒頭の群舞はファシズム下の軍隊を軽やかに跳ね飛ばすものとしてあったのかもしれな…

クレイジー・ホース & ハスラー

『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』(フレデリック・ワイズマン)。 いつもながらのワイズマンっちゃワイズマンだけど、ちょっといつもより弱いなと思ってしまったのは、きらびやかな色彩のデジタル映像の、のっぺりした感じにいまいち乗りきれなかっ…

ロンゲスト・ヤード

『ロンゲスト・ヤード』(ロバート・アルドリッチ、1974年)@日比谷みゆき座。 アルドリッチをフィルムで!劇場で!というこの機会を逃す手はありません。駆けつけてください、行ける方。 べつに傑作!だ何だと言いつのるつもりは毛頭なく、ただぐだぐだし…

ダーク・シャドウ

ちょっと以前に見た『ダーク・シャドウ』。言わずと知れたティム・バートン監督作。 これだけのものを作られてしまうと特に言うこともない。海を滑っていく導入から、完璧さに震える。メロドラマとコメディーとホラーとアクションに加えて70年代ポップ、とあ…

ロボット

渋谷TOEIにて噂の『ロボット・完全版』(タミル語ヴァージョン)。 スーパースターが博士役と博士の作ったロボットの二役で出てきて、元ミス・ユニヴァースの綺麗なおねーちゃんが出てきて、どこまでもお馬鹿な二人組の弟子がいて、悪い博士がいて悪いロボッ…

ラジウム・ガールズ 2011

Phew+小林エリカ=Project UNDARKによる、『Radium Girls 2011』。 トラックはディーター・メビウス。 「ラジウム・ガールズとは1917年頃ニュージャージー州オレンジの米国ラジウム工場で時計の文字盤を暗闇に光る発光ペイントしたために被曝した女性工場労…