燃える夏
暑い。暑い。暑いので省エネ運転します。
花つみ日記(石田民三)
神保町シアターにて。歌は4度歌われる。群舞として、合唱として、並行モンタージュで、そして救いとして。冒頭の群舞はファシズム下の軍隊を軽やかに跳ね飛ばすものとしてあったのかもしれない(余談だが、幾何学的な群舞を見るとすぐに「バズビー・バークレー」と言う人がいるが、あれはやめていただきたい)。3度目の歌は、決してありえないデュエットとして歌われる。それ以外に賛美歌まで響いてくる。過剰なまでの歌の使いっぷりと叙情は紛れもなくこの監督ならではで、しかもこの映画は女性同士のメロドラマ。日本映画史上で最強のメロドラマ監督は石田民三だと、わたしは確信している。
灼熱の肌(フィリップ・ガレル)
いいフィルムだったなあ、と思わせてくれる映画だった。ただそれだけ思えるような、そんな映画だった。そんな映画はもちろん、滅多にあるものじゃない。元は35mmらしいのだけど、この映画については、デジタル上映が正解だったような気もしてくる。デジタルの空々しさ、軽さが、この映画の描く「弱さ」や「普通であること」に寄与していたのではないか。枕元に現れるガレル父がガレル息子に(=ガレルじいちゃんがガレル孫に、なのだが役柄の上では父が子に)言う、人生は小さなものの積み重ねだと。そんなことは言葉にすればクリシェでしかないのだけれど、ガレルはそのクリシェを愚直に撮った。かっこ悪いものを美化もせず貶めもせず、そのまま撮った。久しぶりに、心から好きだと思えたガレル映画だった。