もう2月

うかうかしていると。



『Jエドガー』イーストウッド)の老けメイクにはイマイチ乗れなかった最近ですが。ソーシャル・ネットワークの双子(じゃないけど)の人の老けメイク姿、引きだと一瞬イーストウッド自身をものすごく老けさせたように見えてぞくっとしたのはわたしだけでしょうか。すぐにボス兄弟(じゃないって)の彼だとはわかるのですが。フーヴァーの母の姿も異様すぎて、戸惑ってしまいました。存在感を消しまくってたナオミ・ワッツと対照的に、ディカプリオは何をやってもやっぱりディカプリオにしか見えないのよねー。



ここ最近見たものでいちばんは何といってもモンテ・ヘルマン24年振り!の長篇『果てなき路』でした。この映画のよさは何と言っていいものやら。あるシーンを取り上げても、女優のよさを誉めても、メタ構造を取り上げても、それらを言葉にすることでどこか的外れになっていってしまうような。ロブ=グリエアメリカ映画のヌケのよさが共存するなんて、モンテ・ヘルマンにしかできない。映画内現実なのか、映画内の映画なのか、一瞬わからなくなるあのクラッとくる感覚、といっても物語がわからなくなるわけでもなく、軽いめまいのように通り過ぎていく瞬間たち。最後は綺麗にオチるのも、やっぱりヘルマン。モンテ・ヘルマンインタビュー集『モンテ・ヘルマン語る 悪魔を憐れむ詩』によると、「あの写真」は監督が現場でちょちょっとフォトショ加工して、「これプリントしてきてくれや」とスタッフをキンコーズに走らせて撮ったらしい。そんな軽さとしっかりしたショットとが同居する、魔術師のような手つきでした。



『哀しき獣』(ナ・ホンジン)も、ぜんぜんアクション撮れてないし強引すぎるけど、決して嫌な強引さではなかった……と思ったら、この映画、撮影に300日もかけてたんですね。見る限りでもお金、相当かかってるはずで。それでこの程度じゃやっぱり駄目なんじゃないのという気もしてきた次第ですが、「死闘」をやられるとグッときてしまうところはやはりある。死闘パート、主人公はあんまり関係なかったですけど。前半の追い詰められた主人公はなかなかよかった。主人公が、秀作『君へ』の西村晋也監督に似過ぎてて笑った。