3D

お仕事でとある展示会に行ってきたのですが、とあるこぢんまりとしたブースで見た「4Kの3D」がすごくて。


これ、いっさい飛び出さずにひたすら奥行きを出すという方向で作られていたのですが、3D画像を見ていて感じるレイヤー感(と名付けているのですが、「いかにもレイヤーつけてるなあ」という興醒めな感じ)もなく、滑らかに、ゆるやかに、奥へと世界が拡がっていて。といっても現実の視界に近づくわけではまったくなく、あくまでもフィクショナルな奥行きが、フィクショナルな水平線へ向けて拡がっていくようで、この拡散感はちょっと面白いと思いました。通常の遠近法だと消失点へ向けて遠くのものは小さくなっていくのですが、この3Dにおいては遠くのものも近くのものと同じ資格で存在して見えるというか。近くにあるからといってそこに集中できない感じがありました。これは初めて味わう感覚で、そのとめどない世界では「物語」など存在しようがないのではないか、などと考えたりもしたのですが、冷静に考えればまあそんなこともないでしょう。


パナソニックの4Kモニターでは相変わらず奥行きでなく飛び出しを強調した映像を流していたけれど、やはりどれほど画質がよくなろうが、飛び出しは「飛び出してるなあ」以上のものにはならず、3Dのポイントとしては「奥行き」なのでしょう。『アバター』も奥行きを使っていたな、とは友人の指摘。そもそも、レイヤー感の見える(=紙芝居っぽい)3Dなんてものは所詮は紙芝居、『アバター』のCGや『ファイナルデッドサーキット3D』『ピラニア3D』といったいかにもなアトラクション系がハマるのもいかにもと思う。


この変に拡散する「4k3D」上で万田邦敏監督が演出をしたらどうなるのだろう、ストローブも案外親和性あるんじゃなかろうか、などと考えるとわくわくするのでした。ストローブ、3Dやんないですかね。