Summer Palace


ロウ・イエ天安門、恋人たち』。


風が吹く。木がざわめく。水のないプールのほとり、座っていた少女は自らの重みに耐えかねたようにコンクリートに倒れこむ。風には綿毛のような白い羽根が混じっている。キャメラはゆっくりと上昇し、横たわる少女を捉える。「幻想……それこそが致命的だ」


倒れこむ、少女。彼女はこの運動を何度も繰り返す。そして彼女の友だちもやはり後に、別のかたちで倒れこむことになる。


変わってほしいことは変わらず、変わりたくないことは変わってしまう。変わらないふりをしてみることもある。天安門事件から10年、再会しようとする男女は電子メールでやりとりをする。国家、革命、金、愛、それら幻想はいつだって致命的だが、幻想なしでは生きられない、あんたもおれも。