忍びの卍


鈴木則文監督の『忍びの卍』を新文芸坐にて。
ニュープリント。原作は山田風太郎


則文師、実はかなりヒッチコックなんじゃないかと思っているのだが、やはりこの映画もラブシーンになるとキャメラは回る回る。ぐるんぐるん。この映画、元は桜町弘子の一人二役で考えられていたらしいし。


アヴァンタイトルの常套通りのサスペンスと、予想を裏切る結果から、かっこいい。女から流れる血を追うキャメラ→アレが落ちてきてボン!とタイトル。たまらない。アクションもやっぱり冴えている。ギャグ路線は控えめで、そのぶん則文師の巧さと、則文作に通底するロマンチシズムがあらわになっている感がある。則文師自身が「失敗作」と仰っているのは、おそらくこのへんのことだろう。なんともレベルの高い話である。